今回は、9月前半の途上国を中心とした主な国際的なニュースと各国の動向を取り上げたいと思います!
ECBの量的緩和縮小やビットコインの法定通貨採用などの国際情勢のほか、トルコ、フィリピン、タイ、中国などの投資に関わるニュースについても取り上げています!
こんな方におすすめ!
- 市場に関係する主要な世界のニュースを振り返りたい
- 世界的なマクロ経済に関する最新の情報を知りたい
- 新興国市場や各国の動向を確認したい
- 主要な新興国ETFの指標を確認したい
国際政治・世界経済の主な動向
ECB 資産購入規模を縮小へ量的緩和脱却が加速。
9 月9 日、欧州中央銀行(ECB)は理事会を開催され、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下で進めてきた資産買い取りを前2 四半期より「適度に低いペース」で進めとしていくことを決定しました。
PEPP は、新型コロナ危機に対応するべく、2022年3 月末までに最大1 兆8,500 億ユーロの総枠を設定して、通常の量的緩和(200 億ユーロ/月)に加えて、さらに追加的に資産購入を行うもので、最近数ヶ月は約800 億ユーロ/月のペースで買い取りを進めていたが、これを縮小していくことになりました。
一方で、政策金利は現行水準を維持、通常の金融緩和の対応も不変とすることで緩やかに規制緩和することを市場に発信しました。
ユーロ圏全体の経済成長は、4~6 月期は+2.2%と前回6 月時点予測を0.8%上回り、9 日にECB が明らかにした21 年の通年成長率も4.6%から5.0%へと上昇修正され、21~23 年のインフレ見通しも各2.2%、1.7%、1.5%と前回予測より0.1~0.2%上方修正しました。
ただし、デルタ株が広がる中、経済の回復にも不透明性があり、ラガルド総裁も「テーパリングではない」と緩和からの脱却には依然慎重な姿勢を示し、ECB の声明において、金融環境の改善状況に応じてPEPP 総枠も期限までに全額活用されない可能性もあれば、見直し(recalibrate)される可能性もあると述べています。
デルタ株の感染拡大で不透明感はあるものの、量的緩和で着実に経済の立て直しの効果が数字見えているからこその量的緩和の引き締めへの方向に舵を切ることができたのではないかと思います。
エルサルバドルでビットコインが法定通貨としての利用が開始
エルサルバドルでは独裁懸念が高まる中、ビットコインの法定通貨化が開始されました。
BRICS 銀行が最初の加盟国拡大へ
9 月2 日、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5 カ国(BRICS)により2015 年に設立された新開発銀行(New Development Bank)は、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイ及びバングラデシュの3 ヵ国が加盟予定であると発表しました。
2020 年末に当初加盟国政府が同行に新規加盟交渉開始を許可して以降、最初の加盟国であ、今後、各国政府における国内手続等を経て正式に加盟資格が発効されます。新開発銀行は、これまでに約80 件に対して総額300 億ドル規模の承諾を実施済と発表しています。
各国の政治・経済の動向
マレーシア
法定債務上限、65%に引き上げへ
9 月3 日、財務相は政府債務残高のGDP 比の法的上限を現行の60%から65%に引き上げる方針を示しました。
コロナ禍を受けた国民や企業向けの支援策により、今年の財政赤字のGDP 比は6.5~7.0%になる見込みのため、政府債務残高GDP 比は年内にも60%を超える見通しになっています。
資金調達方法については、国内でリンギ建ての資金を調達すると説明しました。
ちなみに、直近の日本における同比はなんと266%になっています。
フィリピン
8 月インフレ率4.9%に上昇、年内には目標範囲内に収束の見込み
9 月7 日、フィリピン統計局は、8 月の消費者物価指数は前年同月比4.9%に上昇し、再び目標範囲(2~4%)を超過したと発表しました。
天候不良による食料品価格の上昇が主な要因です。
フィリピン中央銀行は、21 年1 月~8 月の平均インフレ率は4.4%と目標範囲を上回っていますが、21年末までには目標内に収まる見込みと述べています。
また、インフレ見通しが許す限り、経済の回復を支えるための金融緩和は維持する見通しと表明しました。
タイ王国
観光再開を拡大へ 感染高止まりも規制緩和
9 月1 日、プラユット首相は国会で「観光再開を前進させる」と述べ、7 月にリゾート地プーケットで導入した外国人観光客入国時の隔離免除措置を、首都バンコクや北部チェンマイに広げる考えを示しました。夜間外出禁止や娯楽産業の営業規制については10日、9 月末まで引き続き延長としています。
コロナ感染再拡大を受け、タイの国家経済社会開発委員会は8 月に、2021 年の経済成長率予測を0.7~1.2%に下方修正しています。
中国
習国家主席、北京証券取引所の設立を表明
9 月2 日、習国家主席は、店頭市場にあたる「新三板」を改革し、北京証券取引所を設立し、中小企業のイノベーションを引き続き支援すると表明しました。
中国証券監督管理委員会の発表によると北京証券取引所の上場対象企業は革新的な中小企業としています。
北京証券取引所は上海、深圳、香港に次ぐ4 カ所目の証券取引所となります。
証券取引所の新設により、国内資本市場の機能強化に加えて、政府が提唱する「共同富裕」に向けて中小企業振興が重要なテーマであるところ、資金調達面で支える狙いがあるようです。
ケニア
20 年成長率、約30 年ぶりマイナス 新型コロナが打撃
9 月9 日、財務省は、20 年の国内総生産(GDP)が前年比0.3%縮小し、1992 年以来約30 年ぶりのマイナスとなったと発表しました。
19 年までの5 年間は5~6%台の成長率を維持していましたが、新型コロナ対策の都市封鎖により外国からの訪問者が71.5%減少し、観光収入は43.9%急減したことが主な要因となっています。
21 年は、コロナ危機の影響が和らぎ始めており、6%超の経済成長が期待されています。
トルコ
第4 四半期にインフレ鈍化との見通し
9 月8 日、中銀総裁は、現在19%の政策金利は十分に引き締め的で、インフレ率は第4 四半期に低下するとの見通しが示され、市場では金融緩和の用意があると受け止められ、通貨リラが急落しました。
8 月のインフレ率は19.25%と政策金利を上回りましたが、中銀総裁は政策を決定する上で、総合インフレ率より低い水準にあるコアインフレ率(食品やエネルギーなど価格変動が激しい品目を除いたもの)の重要性が増していると指摘し、「金融政策スタンスは引き締め的であり、世界的に物価が上昇する中でもインフレ率を押し下げるのに十分だ」と語りました。
総合インフレ率が8 月に3 カ月連続で上昇し政策金利を上回る19.25%であったことに対し、コアインフレは16.76%と、前月の17.22%から低下していた。コアインフレ率の減速を基に、早期に利下げ議論が起きる可能性があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
デルタ株の感染拡大は、世界経済の共通の不安材料になっていますが、新興国の中でも経済が持ち直してきている国とそうでない国の明暗がはっきりと分かれてきています。
新興国投資をこのタイミングで行う場合は、どの国に投資するべきかを各指標をきちんと比較して行うことがリスク低減につながると思います。
個人的には、タイに隔離期間無しで行けるようになったことが大変嬉しいですね!
もう二年近くも海外旅行に行けていなくて、海外旅行に行きたくてしょうがない人もたくさんいるのではないでしょうか。
早く海外旅行に行きたい!!