今回は、7月末から8月上旬までの途上国を中心とした主な国際的なニュースと各国の動向を取り上げたいと思います!
こんな方におすすめ!
- 市場に関係する主要な世界のニュースを振り返りたい
- 世界的なマクロ経済に関する最新の情報を知りたい
- 新興国市場や各国の動向を確認したい
- 主要な新興国ETFの指標を確認したい
国際政治・世界経済の主な動向
IMF が新興国の2021年の経済見通しの予想を下方修正
7 月 27 日、IMF は今年 4 月に発表した世界経済見通しの見直しを発表しました。
2021 年の世界経済成長率見通しは 6%と 4 月時点の予測を据え置いていますが、ワクチン接種率が 平均 40%まで進む先進国は4月時点より 0.5%引き上げて 5.6%とする一方、いまだ 接種の進展が進まない新興途上国は 0.4%引き下げて 6.3%としました。
ちなみに、日本のワクチン接種率は、おおよそ50%で今年の5月の3.2%からものすごい速さで接種が進んでいます。
2022 年の経済成 長率は、世界全体で 4.4%(4 月時点比 0.5%増)、うち先進国 4.4%(同 0.8%増)、新興途上国 6.3%(同 0.2%増)を予測しています。
先進国の成長率予測引き上げの多くは、米国におけるインフラ投資や社会的セーフティネットの強化を織り込んだことによるものです。(米国経済は、2021 年は 4 月時点比 0.6% 増の 7.0%、2022 年は 1.4%増の 4.9%の成長と予測されています。)
やはり、先進国の中でも米国の景気拡大が突出していますね。
一方、新興途上国における予 測引き下げは、主にアジア(印・ASEAN 等)におけるコロナ禍の再拡大を背景にし たものです。
各国の政治・経済の動向
インドネシア共和国 成長率予測をコロナ影響で下方修正
7 月 22 日、インドネシア中銀は今年の GDP 成長率予測について、前月までの 4.1~5.1%から 3.5~4.3%へ下方修正しました。
第 2 四半期は経済回復状況に改善が見られたものの、第 2 四半期は新型コロナ対策の緊急活動制限の実施で移動が制限され、家庭消費が落ち 込むと予測しています。
一方、第 4 四半期はワクチン接種の加速で経済は回復に向かうとの見通 しを示しました。
直近のインドネシアの主要ETFのiシェアーズMSCIインドネシアETFは以下のようになっています。
21年当初は、コロナ前の指標まで復活していたものの、コロナの感染拡大によって再び下降トレンドに入ってしまいました。今は、75週線をレジスタンスラインとして反発するかどうかの瀬戸際になっています。
ここ1年は、ずっと200週線よりも下位に位置しているので、少なくとも週足で上昇トレンドに転じた段階でエントリーするのが安全に思えます。
フィリピン共和国 デルタ株を警戒し、再び行動規制厳格化
7 月 30 日、フィリピン政府は、マニラ首都圏の移動・行動制限措置を 8 月 6 日から 20 日まで、4 段階あるうち最も厳しい水準(65 歳以上の人等の外出禁止、屋外での集会等の禁止) に引き上げると発表しました。
短期間に厳しい行動制限を敷くことで、感染力が強いとさ れる新型コロナのデルタ型の感染拡大を抑えたい考え。経済活動の抑制により1週間 あたり 1,050 億ペソ(2,300 億円)の損失が見込まれています。
直近のフィリピンの主要ETFのiシェアーズフィリピンETFの週足チャートは以下のようになっています。
200週移動平均線に綺麗に上限を押さえつけられていて、今は75週移動平均線に反発するかの瀬戸際になっています。こちらもきちんと反発するのを確認してからエントリーした方が良さそうです。
ミャンマー連邦共和国 21 年度成長率はマイナス 18%に、世銀が発表
7 月 26 日、世界銀行は最新のミャンマー経済見通しを公表し、2021 年会の経済成長率がマイナス 18%になる見通しであると発表しました。
クーデターによる混乱に加え、新型コロナウイルス変異型の感染拡大が経済危機に拍 車を掛けていることを要因と説明しています。
世銀によると、約 100 万人が失業する恐れがあり、 多くの労働者が収入減に直面している模様です。
1 日 1.9 ドル未満で暮らす人の割合を示す貧困率は、 22 年初めまでに 19 年に比べて 2 倍超に上る見込みです。
タイ王国 コロナ失政でデモ再燃、格差拡大も批判
7 月 20 日、報道によると、新型コロナウイルスの感染が拡大を受けて、軍政の流れをくむプラユット政権の退陣を求める反体制デモが再燃しています。
デモはワクチン 接種の遅れに加えて、経済活動の制限で貧富の差が広がっていることを背景としてい る。同国は上位 1%の富裕層が国の富の半分を握る格差社会と言われており、コロナ 禍の行動制限は弱者への影響が大きい。
タイ王国 財務省、21 年成長率予想を 1.3%に引き下げ
7 月 29 日、財務省は、21 年の経済成長率見通しを 1.3%とし、前回予想の 2.3%から引き下げました。
新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、今年に入って 3 度目の成 長率予想の下方修正になります。
感染拡大は経済活動や外国人観光客数に影響を与えるが、輸出 の回復、財政措置が一定の支援になるようです。
タイ中銀も、今年の GDP 成長率予測 を 1.8%から更に下方修正すると発表しています。
直近のタイの主要ETFのiシェアーズMSCIタイETFの週足チャートは以下のようになっています。
こちらも、7月から大幅に急落しています。週足で反発するまでみているだけの方が安全そうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
IMFの最新のレポートにある通り、ワクチン接種が進む先進国と接種が遅れている新興国で、経済予想の明暗がくっきりと分かれています。
特に一部の国では、景気後退による情勢不安からデモや治安が悪化している国も出てきており、警戒が必要です。
これから中長期的にはワクチンが世界的に平等に普及され、新興市場の景気予想が上向かない限りは、非常に厳しい状況が続きそうです。